クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

戦争ではない これは犯罪

執筆者:徳岡孝夫 2001年10月号
タグ: アメリカ 日本

 アメリカは外科医のような手つきで、アフガニスタンへの攻撃を始めた。術前の血液検査、CTスキャン、負荷テスト、すべてやった。頭に布を巻いた髭ヅラの患者は、手術台の上。メスを入れるべき個所には、マジックでマークがしてある。まず皮膚を切り、血管に達すればクリップで挟んでおいて切り進む。血は流れるが、無用の血は流さない……。 ブレア英首相は「無為は行動より危険だ」と言った。外科手術中に多少の血は流れる。だが国際テロリズムという患部を放置しておけば世界は病毒に冒され、やがて文明は野蛮へと退化して死に至る危険がある。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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