国際論壇レビュー

アメリカはどれほど“優越”しているのか

 なんとかインドとパキスタンの間の戦争の危機は、回避されたかに見える。パレスチナ問題は依然として大問題であるが、四月のころに比べると自爆テロの頻度は低下した。アフガニスタンの内政は不安定だし、米軍の誤爆などもあるが、壊滅的とはいえない。世界情勢は凪のような状態になったのかもしれない。したがって、個別の問題についての甲論乙駁には、あまり目立ったものがなかった。より根源的に現在の事態をどのようにとらえるのか、あるいは、今後の予測というような論調が目についた。現在が凪であれば、また風は吹き始めるであろう。嵐がくるのか。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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