国際論壇レビュー

北朝鮮で開始された不思議な「改革」の行方

 北朝鮮で起こる出来事に、不思議でないことはない。サッカーワールドカップの最中の黄海での銃撃戦も不思議であったが、七月に入って、この銃撃戦に「遺憾」の意を表明したのも不思議であった。その後、ASEAN地域フォーラム(ARF)に出席した白南淳外相が、日本やアメリカを相手に精力的な外交を繰り広げたのも驚きであった。 さらにまた、このような外交攻勢とほぼ時を同じくして、北朝鮮国内で配給制の一部廃止などの経済政策の変化が報じられた。その政策の内容を「改革」とみるかどうかが焦点であるが、「改革」とみるにしても不思議な政策が開始されたようなのである。当面、北朝鮮の動向が国際的メディアの関心事項となるだろう。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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