クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

オサマ 生きていても死んだも同然

執筆者:徳岡孝夫 2002年9月号
エリア: 中東 北米 アジア

 去年の九月十一日、ニューヨークとワシントンがテロにやられる日まで、ブッシュ米大統領とホワイトハウスはロクな中東政策を持たず、ましてアフガニスタンのことなど考えたこともなかった。 その間に、ヒンズークシに泥の家を建てて住むアル・カエダは、パレスチナのユダヤ国家を抹殺するため、イスラエルの大旦那であるアメリカの心臓部を衝く計画を練り、手はずを整え、旅客機を乗っ取って自爆し、何の罪もない三千人を殺し、ニューヨークの摩天楼群の中で最も美しい双柱を根こそぎにした。 それから一年が過ぎた。アメリカは覚醒したが、テロリストに動機を与えた中東の紛争は、解決の糸口すら見えない。

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