他の西欧諸国に先駆けてインフラの民営化を進めてきたイギリスに逆風が吹いている。旧国営郵便は赤字を垂れ流し、電力会社と旧国鉄は公的資金の注入を受けた。「自由化による競争促進と効率化」が、常に成功するとは限らない。[ロンドン発]自由化先進国のイギリスが、自由化後遺症に苦しんでいる。株式会社化した旧英国郵便のコンシグニアは、一日当たり百万ポンド(二億円弱)の赤字を垂れ流しながら迷走。成功例とされた電力も、原子力発電大手のブリティッシュ・エナジー(BE)が政府の資金援助を受けた。相次ぐ重大事故の原因を作った鉄道施設管理会社レールトラックは、経営破綻後の再建スキームが固まらない。サッチャー改革から二十年あまり。合理化のしわ寄せとも言える痛みが、英国全土を覆い始めた。
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