僕がテレビを見ない理由

執筆者:成毛眞 2003年2月号

 テレビはあまり見ない。夜のニュースですら見ないことが多い。どうせ翌日の新聞に詳しく報道されていると思うと、三十分でも時間を拘束されるテレビがうっとうしい。しかも、関東版のニュースで「先週、凹凸町の川で白い泥鰌が見つかりました」という「事件」を真面目にやっているのに激怒してから、あまりに空しいので見ないようにしている。 それにしても、白い泥鰌一匹の発見を関東一円四千万人に報道する魂胆はいったい何なのだろう。テレビだって本来黒い泥鰌に対して異質で珍しい白い泥鰌の発見を伝えているのだから、「あなたがたも外国人などを見たら通報してください」との意図でも隠されているのだろうか。つくづく目立ってはいけない国のようである。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
成毛眞(なるけまこと) 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年、マイクロソフト株式会社に入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。2011年、書評サイト「HONZ」を開設。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。著書に『面白い本』(岩波新書)、『ビジネスマンへの歌舞伎案内』(NHK出版)、『これが「買い」だ 私のキュレーション術』(新潮社)、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『金のなる人 お金をどんどん働かせ資産を増やす生き方』(ポプラ社)など多数。(写真©岡倉禎志)。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top