臨時の政策委員会開催、銀行保有株式の購入枠拡大、中小企業の資金繰り支援……。「福井日銀」が発足直後から矢継ぎ早に策を繰り出している。政府・与党はこれを歓迎、マスコミの扱いも好意的だ。速水時代とは段違いのウケの良さに喜んでいると思いきや、幹部らの表情は一様に暗い。いずれの策も透明性や健全性の面で少なからず問題があるからだ。「総裁は何を焦っているのか」。現場からは不審の声が上がっている。 新総裁の手腕は“柔軟”“迅速”と評価されているが、一つ一つの策は実は疑問符だらけだ。臨時の政策委員会は、インターバンク市場の落ち着きを考えれば開催根拠はないし、一度臨時を開けば政策変更の時期の見当がつきにくくなる。株購入枠の拡大も年度末のタイミングを見計らったかのようで、政府に株価対策をプレゼントしたのが見え見えだった。
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