国際論壇レビュー

一九八六年のソ連と中国の現在

執筆者:田中明彦 2003年6月号

 超大国が戦争を行なうという局面では、国際論壇の話題がその戦争一色になるのは当然である。しかし、世界が直面する問題のすべてがイラク問題に収斂するわけではない。イラク戦争の終結とともに、いくつもの問題が注目を集めるようになった。 新たな問題の筆頭は、いうまでもなくSARS(重症急性呼吸器症候群=Severe Acute Respiratory Syndrome)である。『ニューヨーク・タイムズ』紙社説がいうように、SARSは「単なる衛生問題ではない」からである(“The cost of illness”『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』(IHT)、五月二日)。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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