アチェから始まる「恐怖の連鎖」

執筆者:竹田いさみ 2003年7月号
エリア: アジア

「和平」の動きは露と消え、インドネシア国軍とアチェ独立派の争いが激化。このままでは、各地に紛争を飛び火させかねない。 一縷の望みを託して、日本政府は五月十七、十八日にアチェ和平会議を東京で開いた。インドネシアからの分離独立を求める「自由アチェ運動(GAM)」幹部と、独立の完全放棄を求めるインドネシア政府代表団を、何とか和平交渉のテーブルに着かせようとしたのが、この東京会議であった。実質的な交渉の仲介は、スイスの国際NGO(非政府組織)の「アンリ・デュナン人道対話センター(HDC)」が行ない、日本は米国、欧州連合(EU)、世界銀行とともに、アチェ和平・復興プロセスを支える四議長国の一員としてお膳立てをしたわけである。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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