「ならず者国家」リビアが、大量破壊兵器廃棄を宣言し、世界を驚かせた。この動きの背後には、中東諸国いずれもが直面する政治システムの危機がある。イラク戦争後、米国との対立を深める中東に日本はどう対応すべきなのか。 ヨルダンの首都アンマン滞在中に「サダム・フセイン拘束」を知った。このビッグ・ニュースにどう反応するか興味深かったが、町は予想外に静かだった。パレスチナ難民キャンプではフセイン支持のデモがあったようだが、ヨルダン大学前のカフェに集まっていた学生たちは特別な感慨はないといった感じでおしゃべりに興じていた。この冷たく距離を置いた反応は何を意味しているのだろうか。中東の一般大衆はもうとうにフセイン体制に代表される中東の統治システムに見切りをつけていたのかもしれない。

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