友人から新刊本が届いた。なんと厚みが七センチもある大物である。それもそのはず、ラーメン二食付きの本なのだ。表紙の帯にあたるところには「読んでから食べるか。食べてから読むか」の文句。角川書店が発売しているのだから、けっして自費出版の類ではないのだが、ある意味で稀覯本だ。『「竹家食堂」ものがたり』。小説仕立てのこの本は、大正期に北大正門前で商いをしていたという竹家食堂がいかに「ラーメン」を生み出したかを辿っている。当時「チャンコロそば」と蔑まれていた名称に心を痛めていた店主が、中国語の出来上がったよという「好了(ハオラー)」のラーを取ってラーメンと名付けたというのである。

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