深層レポート 日本の政治 (52)

イラクから「撤退せず」悩まざる小泉 あとでこじれた民主党

執筆者:Foresight 2004年5月号
エリア: アジア

 日本中を揺るがすことになるイラクでの日本人人質事件の第一報がカタールのテレビ局「アルジャジーラ」から外務省にもたらされたのは、年金制度改革法案をめぐる与野党攻防で紛糾していた国会が六日ぶりに正常化し、小泉内閣が一息ついた四月八日の夕刻だった。 アンマンから陸路バグダッドに向かっていた日本人の民間ボランティア二人とフリージャーナリスト一人の計三人が武装グループに拉致され、犯人側はイラクからの自衛隊撤退を求めている――というのが事件の概要だった。アルジャジーラに届いたCD-ROMには痛々しい三人の映像が収められ、「放送から三日以内に日本の軍隊が我々の国から出ていかなければ三人を焼き殺す」とのメッセージが添えられていた。午後九時、アルジャジーラはこのニュースを放送し、「三日以内」の非情のカウントダウンが始まった。

カテゴリ: 政治
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