饗宴外交の舞台裏 (162)

「Wagyu」「Daikon」で波紋が起きた米国の韓国歓迎メニュー

執筆者:西川恵 2011年11月10日
エリア: 北米 アジア
歓迎式典は過去最大級の規模に(c)AFP=時事
歓迎式典は過去最大級の規模に(c)AFP=時事

 韓国の李明博大統領が10月11日から15日まで米国を国賓として訪問した。米韓両国の緊密な関係を象徴するようにオバマ米大統領は李大統領を最高の待遇で迎えた。  国賓でもめったにない米議会での演説の機会を与え、国防総省にも招き、機密事案協議用の部屋に案内した。米上下両院が韓国などとの自由貿易協定(FTA)の批准に向けた法案を可決した12日夜は、ワシントン郊外の韓国レストランに李大統領を招いた。同大統領のミシガン州デトロイトの自動車工場訪問(14日)にも、オバマ大統領は同行している。  米韓両国は北朝鮮やアフガニスタンで緊密に協力してきた。昨年の延坪島砲撃などで北朝鮮が挑発した際には、韓国は米国の自制要求に応えて、過度な反撃は押さえた。  李大統領に対するオバマ大統領の信頼は厚い。米大統領が信頼する首脳はメルケル独首相、トルコのエルドアン首相、それに李大統領といわれる。李大統領に対しては、韓国を国際政治舞台で注目すべきプレイヤーに押し上げた指導者としての力量と共に、教育面に力を入れていることを高く評価する。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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