解決に向かうホンジュラス問題

執筆者:遅野井茂雄 2011年5月25日
エリア: 中南米

 2009年6月28日軍事クーデターによるセラヤ大統領(当時)追放で誕生したホンジュラスの暫定政権は、代表民主主義の集団的防衛体制を謳う米州民主憲章に基づき米州機構(OAS)から資格停止処分を受け、後継のロボ政権も米州システムから排除されてきたが、ホンジュラスの米州機構への復帰の道筋が2年ぶりに整うことになった。

 5月22日、ロボ大統領とセラヤ前大統領がコロンビアの保養地カルタヘナで、国民和解の合意を結んだことにより復帰への障害が取り除かれた。「カルタヘナ合意」は、セラヤ派への迫害停止と前大統領の安全な本国帰国の保証、憲法修正手続きの整備、人権尊重の保障とクーデター後の人権侵害の調査、次期2014年大統領選挙に向けたセラヤ派の政党活動の保証等についての取り決めを含む。コロンビアとベネズエラ両国の仲介による合意であり、サントス・コロンビア大統領とマドゥロ・ベネズエラ外相が保証国として合意の署名を見守った。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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