「ヨーロッパ化されたドイツ」再考

執筆者:佐藤伸行 2011年11月7日
エリア: ヨーロッパ

 「星印が幾つも付くような高級料理を前にした、大衆酒場の口げんかのような激しいやりとり」(独誌シュピーゲル)――。欧州財政・金融危機の震源地ギリシャのパパンドレウ首相が表明した欧州連合(EU)の支援をめぐる国民投票計画をめぐり、独仏両首脳が11月2日にパパンドレウ首相と行った緊急協議は、外交辞令をかなぐりすてた歯に衣着せぬ言葉の応酬だったと伝えられています。メルケル独首相とサルコジ仏大統領という欧州を牛耳る両巨頭から膝詰め談判され、厳しく叱責されたとあっては、名門政治家一族3代目の「お坊ちゃま首相」であるパパンドレウ氏はひとたまりもなく、国民投票実施を断念した経過は周知の通りです。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
佐藤伸行(さとうのぶゆき) 追手門学院大学経済学部教授。1960年山形県生れ。85年早稲田大学卒業後、時事通信社入社。90年代はハンブルク支局、ベルリン支局でドイツ統一プロセスとその後のドイツ情勢をカバー。98年から2003年までウィーン支局で旧ユーゴスラビア民族紛争など東欧問題を取材した。06年から09年までワシントン支局勤務を経て編集委員を務め退職。15年より現職。著書に『世界最強の女帝 メルケルの謎』(文春新書)。
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