クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

またケネディ家の子

執筆者:徳岡孝夫 2012年3月16日
エリア: 北米

 よく名の知れた政治評論家が2人、ラジオに出て、政局の話をしていた。聞くともなしに聞いていると、どういう脈絡か忘れたが、話は逸れてジョン・F・ケネディ大統領の就任演説になった。 「ああいう名演説をしてくれる政治家が日本にいたら……。私はそのとき小学生でしたがね」 「私など幼稚園でしたよ」  軽い笑いを挟んで2人の会話は元に戻った。そんなチンピラが評論家やっとるのか! 聞いている私は唖然となり、その後の対談が耳に入らなかった。  1961年1月、初めて米国に誕生した20世紀生まれの大統領ケネディがワシントンの議事堂前の演壇で就任演説をしたとき、私はすでに社会人だった。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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