ナポレオン、ヒトラーに続く侵略

執筆者:名越健郎 2012年3月24日
エリア: ヨーロッパ

 プーチン首相が約64%の得票で当選を決めたロシア大統領選挙戦では、プーチン氏の過激なレトリックが気になった。過去2回のような余裕はなく、敵と見方を分け、戦時さながらの言辞を駆使した。

 2月23日、モスクワのルイジニキ・サッカー場で行なわれた10万人の支持者集会で演説したプーチン氏は、米国を念頭に「ロシアに自らの意思を押し付けようとする外部勢力」を糾弾。「われわれは自由な意思を持つ。内政干渉を許さない」と強調。

 演説は最後にクライマックスを迎えた。今年がナポレオン軍のモスクワ侵攻を撃破したボロジノの戦いから200周年になることを想起し、レジスタンスを称賛した詩人レールモントフの詩を引用、「われわれは祖国の守護者だ。兄弟たちのように、死んでもモスクワを守る」と述べた。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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