双方に笑顔がなかった「中露首脳会談」の読み方

執筆者:名越健郎 2012年6月10日
エリア: ヨーロッパ アジア

 6月5日の中露首脳会談は、戦略パートナー関係の深化に関する共同声明を発表したり、2020年までに貿易額を昨年の830億ドルから2000億ドルに引き上げる目標で一致するなど、中露蜜月の復活を思わせた。

 中露関係は、米露リセット外交を進めたメドベージェフ前政権時代、やや後退した感があったが、中露蜜月外交を推進したプーチン氏の大統領復帰で、再び格上げされたかにみえる。

 関係強化の背景には、オバマ米政権がアジア太平洋重視路線を打ち出したことがある。パネッタ米国防長官は米海軍艦船の6割を太平洋に配備する方針を発表したが、太平洋進出を図る中国とアジア重視を掲げるプーチン政権はともに、米国のプレゼンス拡大を懸念しており、米国けん制で中露が一致したと言える。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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