ユーロ危機は終わっていない――EUを揺さぶる地中海の小島
ユーロ危機は収束に向かい始めたのだろうか。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が国債の無制限買い入れプログラム(OMT)を発表したのが9月6日。その大胆な決断を追いかけるように、欧州連合(EU)は10月18日からブリュッセルで開いたEU首脳会議で、ユーロ圏の銀行監督を一元化する合意をまとめた。 金融市場の参加者は、流動性の危機がとりあえず去り、不良債権を抱えた銀行への資本注入にも道が開けたと判断したようだ。今はイタリアやスペインの長期金利は一応の安定を取り戻している。 ユーロ圏最大の不安材料だったイタリアは、政府の債務残高が大きいとはいっても基礎的財政収支(プライマリーバランス)は黒字である。流動性の危機が解消されて信用不安が薄まれば、底なしの泥沼に転落せずに立ち直れるはずだ。もう1つの火種であるスペインも、バブル崩壊に伴う銀行の不良債権の処理に目処がつけば、なんとか救われるだろう。
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