アフリカ連合総会で決まったマリ対策

執筆者:平野克己 2013年2月5日

 アフリカ連合(AU)は、前身であるアフリカ統一機構(OAU)創設から数えてちょうど50周年だ。1月27、28両日の首脳会議はその記念総会になるはずだったが、アルジェリアのテロ事件発生でそれどころではなくなった。AU議長を退任するベニンのヤイ・ボニ大統領は、AU常備軍の早期創設と、不測の事態に備えたAU機構の改革を訴えた。

 今回のAU総会には日本から松山政司外務副大臣が出席し、テロ行為を強く非難する演説を行うとともに、マリのトラオレ暫定大統領を含め各国元首と会談した。フランスのファビウス外相とも会談している。今年6月に横浜で開催する第5回アフリカ開発会議(TICAD V)への出席を求めるというもともとの目的はあったものの、アルジェリアで多くの犠牲者を出したわが国として機敏な対応だった。

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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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