饗宴外交の舞台裏 (179)

米大統領「歓迎メニュー」を変えたイスラエル大統領の苦心

執筆者:西川恵 2013年4月12日
エリア: 中東 北米
 乾杯の笑顔の裏には…… (C)AFP=時事
乾杯の笑顔の裏には…… (C)AFP=時事

 オバマ米大統領が3月20日から23日までの4日間、イスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダンを訪問した。歴訪は無事に終わったが、舞台裏ではイスラエル大統領官邸の饗宴料理をパレスチナが批判するなど、双方の間で展開されている文化戦争の一断面をのぞかせた。

 オバマ大統領の訪問を控えた3月中旬、イスラエル大統領官邸はペレス大統領が21日夜に催す歓迎晩餐会のメニューを明らかにした。それによると「イスラエルの典型的な地元料理」で、前菜は〈ファラフェルの団子とフムス〉、主菜は〈ラムチョップにキノコを詰めたズッキーニの花添え〉、デザートは〈果物とイスラエルのチョコレート〉だった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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