ボーカス上院議員「不出馬表明」で挑む「税制改正」の中身

執筆者:足立正彦 2013年5月8日
エリア: 北米

 現在、米議会の上院財政委員会委員長の要職にあるマックス・ボーカス上院議員(民主党、モンタナ州)が来年11月に改選期を迎える中間選挙には出馬せずに、今期限りで政界を引退する意向を4月23日に表明した。

 ボーカス氏はモンタナ州議会下院議員、連邦下院議員を経て、ジミー・カーター政権当時の1978年12月にモンタナ州選出の連邦上院議員に就任している。現在の任期を満了すれば上院議員在職期間が6期36年に達するベテラン政治家である。現職の上院議員としては、パトリック・リーヒー(民主党、ヴァ―モント州)、オリン・ハッチ(共和党、ユタ州)の両上院議員に次いで3番目に長い在職期間を誇っている。また、ボーカス氏は、通商問題や税制改正を管轄している非常に重要な権限を持つ常任委員会の1つである上院財政委員会に1979年から在籍しており、上院の歴史において財政委員会に最も長期間在籍している政治家であり、同委員会の委員長職や野党筆頭理事の立場にあった。地元モンタナ州は牛肉の生産地としても有名だ。日米通商案件では米国内でのBSE(牛海綿状脳症)発生後に日本への米国産牛肉の輸出が禁止されたが、ボーカス氏は日本政府に対し米国産牛肉の輸入再開を積極的に迫った政治家として我が国に馴染みのある政治家でもある。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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