この国の民衆は、金正日政権と軍によって、内側から経済制裁を科されている。首都・平壌でつぶさに見た圧制国家の実態――。 北京での六カ国協議は、相変わらず北朝鮮ののらくらした対応と、世界の“主役”だと錯覚したかのような振る舞いが目立った。先に核兵器保有を公言したことで、一層強気の態度が覗くようになった。だが、裏腹に、国内の経済実態は強気になるべき要素が何もない。 北朝鮮の最高人民会議十一期第三回会議が開かれたのは四月十一日のこと。首相報告では工業生産の増減率が、財政相の報告では「歳入」の実額が、それぞれ明らかにされなかった。いくら国民にさまざまなことを知らせたがらない金正日政権といえども、史上初めての事態であった。
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