ある地方自治体の党幹部が打ち明けた。「もうやってられない」。いったいどういう経緯で赤字が膨んだのか――。「私たちの鎮は借金漬けで、誰も鎮長にも共産党の幹部にもなりたがらない。なり手がいないので、私も辞めるに辞められず、こうして不本意なまま続けている。本当は、負担だけ大きくてみんなに恨まれる党の幹部なんかはさっさと辞めて、合弁企業か独資企業の経営でもやれればいいんだが……」 広州近郊のある鎮の共産党書記の口から思いがけない言葉が飛び出した。昨年十一月下旬、連れだってタイへ観光旅行に出かけたときのことだ。鎮は中国で県の下に位置する行政区画単位。鎮長はいわば町長でナンバー2、共産党書記がナンバー1である。
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