中間選挙にらみ「経済格差是正」に焦点を当てるオバマ大統領

執筆者:足立正彦 2014年1月23日
エリア: 北米

 バラク・オバマ大統領は大統領就任後5度目となる「一般教書演説」を米国東部時間の1月28日夜に行うことになっている。大統領就任直後の2009年1月に米議会上下両院合同本会議で行った演説は「一般教書演説」ではなく「施政方針演説」であったため、今回の「一般教書演説」はオバマ大統領にとり5度目となる。オバマ大統領の任期は2017年1月に満了するが、米議会上下両院合同本会議で「一般教書演説」を行うのは今回も含めて残り3度のみとなる。

 オバマ政権2期目スタートの年であった昨年は、オバマ大統領にとり散々な1年であったと言っていいだろう。とりわけ、米議会との関係では、与野党対立のさらなる先鋭化により立法面での具体的成果を残すことができず、銃規制強化法案、移民法改正法案などホワイトハウスが成立を目指した主要法案を成立させることができなかった。第113議会第1会期(2013年1月-2014年1月)で可決された法案の数はわずか65本と史上最低水準となった。さらに、昨年10月にはティーパーティー(茶会党)系の共和党下院議員が医療保険制度改革関連法(オバマケア)の関連予算を2014会計年度予算案からすべて削除するようジョン・ベイナー下院議長(オハイオ州第8区)ら下院共和党指導部に強硬に迫った結果、与野党協議は膠着状態に陥り、17年9カ月ぶりに連邦政府機関が一部閉鎖に追い込まれた。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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