セルビアとモンテネグロが受けるEU拡大の恩恵

執筆者:石山新平 2006年2月号
エリア: ヨーロッパ

EUが東へ拡大するにつれ、バルカン半島中央の連合国家に注目が集まる。それにはいくつもの理由が――。[ベオグラード発]欧州委員会は二〇〇五年十一月、旧ユーゴスラビアの構成国だったマケドニアを「EU(欧州連合)加盟候補国」として認めるよう欧州理事会に勧告した。またクロアチアとの間でも加盟交渉がスタートし、旧ユーゴ諸国がEU拡大の焦点になってきた。 そんな中、“EU加盟レース”では大きく出遅れ、しかしそのためにむしろ注目されている国がある。連合国家セルビア・モンテネグロだ。一九九二年にユーゴスラビアが解体した後、連邦共和国を形成した二つの共和国は、大統領だったミロシェビッチがユーゴ紛争の元凶とされ、国際社会の経済制裁を受けたことから経済が瓦解し、辛酸をなめた。しかし、もともとは旧ユーゴの盟主。潜在的な経済力は旧社会主義諸国の中でも断トツとされる。しかも首都ベオグラードは拡大EUを担う交通の要衝に位置する。歴史的、経済的に関係が深いドイツ企業などが、着々と拠点を築き始めている。

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