村松さんからの第2報が届いたのは、帰りの送迎も無事終えた頃だった。検査の結果、右大腿骨頸部を骨折していることがわかったが、心臓疾患があるため手術はできない、したがって入院もさせられないということになり、直ちに搬送先である公立病院を出なければならなくなったという。とはいえ、今の状態では独り暮らしの市営アパートに戻すこともできないし、かといって6人いる子供たちはいずれも様々な家庭の事情を抱えていて貞さんを引き取ることができない。村松さんが掛け合って、公立病院の地域連携室の担当者が受け入れ先を探してくれることになったが、年末年始の休業が迫っているためか、どこも満床を理由に受け入れを拒否。漸く受け入れ先として見つかったのが、隣町の療養型の老人病院だったのだそうだ。貞さんはその老人病院に運ばれ入院したと村松さんは教えてくれた。

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