「イランの核」におののくアラブ諸国の手詰まり

執筆者:柳沢亨之 2006年4月号
エリア: 中東

「ペルシャの核・シーア派の核」はアラブの脅威。しかしイランは、アラブ諸国の足元を見透かしたように、各国のシーア派や反米勢力を煽り……。[カイロ発]緊迫するイランの核開発に対し、アラブ諸国は、欧米から見れば歯痒い対応を繰り返している。「イラン問題を飛ばしましたね」。二月二十一日、エジプトのアブルゲイト外相は同国訪問中のライス米国務長官との会談後に行なった共同記者会見で、長官から異例の“注意”を受けた。外相がパレスチナやイラク情勢を協議したと紹介しただけで、長官訪問の主要目的だったイラン核問題には言及しなかったからだ。もう一つの域内大国、サウジアラビアも同様に歯切れが悪い。二月十三日、トルキ駐米大使は米テレビで、イラン核問題に関する発言を求めるキャスターに「頼むからイランについては話さないで」と懇願した。

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