東シベリア 亡国のパイプライン

執筆者:名越健郎 2006年5月号
エリア: ヨーロッパ

官が独走し、かかるコストは膨大。ロシアに弄ばれ、中国を苛立たせるだけの石油パイプラインなど、本当に必要なのか。[モスクワ発]日中両国が競合するロシア・東シベリア油田からの太平洋石油パイプライン建設計画が近く着工する。第一段階の事業化調査は終わり、資材の入札が始まった。プーチン政権は日本と中国のどちらに石油を優先供給するか決めていないが、日本は過酷な東シベリア油田開発に協力させられた挙げ句、見返りは少ないという損な役回りを演じかねない。民間を無視した官僚主導プロジェクトの陥穽を追った。押しつけられる油田開発

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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