文化大革命の「輸出」とカンボジア

執筆者:野嶋剛 2014年5月14日
エリア: アジア

 カンボジア出身のドキュメタリー監督、リティ・パニュの「消えた画 クメール・ルージュの真実」を試写会で見た。

 リティ・パニュは1970年代にポル・ポト政権下のカンボジアで少年時代を過ごし、クメール・ルージュ、つまりポル・ポト政権の農村のキャンプに強制移転させられ、家族のほとんどを失った経験を持つ。キャンプを命からがら抜け出し、フランスで映画の道に入り、カンボジアの苦難の歴史に関する多くの作品を発表して国際的に高い評価を受けている。

 クメール・ルージュが支配した「民主カンプチア」時代は、1975年から1979年まで続いた。わずか4年あまりの時間だったが、人類史にも例を見ない大量虐殺や大量洗脳が行われたことは誰もが知っている。だが、当時の状況についての映像や写真は不足しているという。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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