「錆びないハイテン」はこうして作られる――「高級鋼材」に賭ける鉄鋼業の世界との戦い 3

執筆者:船木春仁 2006年8月号
タグ: 日本 アメリカ

 この連載の先月号の原稿に、担当編集者が「『軽くて強い車』の秘密は“結晶”にあった」というタイトルを付けた。高い強度を実現しながら加工・成形性に優れた「自動車向け高張力鋼板ハイテン(High Tensile Strength Steel)」の開発は、精錬の過程で炭素や窒素などを徹底的に減らした極低炭素鋼(IF鋼)からスタートしたが、後に、鋼の結晶組織をコントロールすることでまったく新しいハイテンであるTRIP(高残留オーステナイト)鋼やDP(フェライト・マルテンサイト組織)鋼を生み出した。 また、その結晶の制御は、圧延と呼ばれる工程で、熱い鋼にどのようなタイミングで水を掛けて温度制御したり、延ばしたりするかに秘密があるとも紹介した。記事のタイトルは、こうした内容を受けてのものだった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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