テロリストの誕生(4)立てこもり事件・クリバリの「正義感」

執筆者:国末憲人 2015年4月3日
タグ: フランス 日本
エリア: ヨーロッパ 中東

 ユダヤ人スーパー立てこもり事件の容疑者アメディ・クリバリが、師匠ジャメル・ベガルに再会するまでの軌跡を、しばらく追ってみたい。少し回り道になるが、彼のメンタリティーを垣間見ることができるだろう。

 クリバリがフルリ=メロジス刑務所に収監されていたのは、2005年1月31日から8月25日までである。その後いったん社会に復帰するのだが、少年時代から車上狙いや強盗を重ねてきた彼のことである。2007年、麻薬取引の罪で受けた1年半の禁錮刑を務めるため、同じ刑務所に舞い戻ってきた。前回の刑期中に窓越しの親交を深めたベガルは、もういない。すでにその前年の3月、別の刑務所に移されていた。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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