サルコジ大統領の包容力テスト

執筆者:名越健郎 2007年7月号
エリア: ヨーロッパ

 フランスの大統領が74歳の老獪なジャック・シラク氏から団塊を一気に飛び越えて52歳のニコラ・サルコジ氏に代わった。 父はハンガリー移民、母はギリシャ系ユダヤ人という変り種。苦学して弁護士となり、頂点に上り詰めただけに、スローガンは「能力のある者が稼げる社会」。暴動を起こした移民を「社会のくず」とこき下ろした。「わたしは米国の友人だ」と公言する親米派で、早くも「ブレア英首相に代わるブッシュ大統領の新しいプードル」と揶揄されている。 停滞する社会・経済に競争原理を導入しなければ、米英主導のグローバリゼーションに取り残されるという危機感が有権者に働いたようだ。だが、伝統的に闘いに弱いこの国で、「強いフランス」の実現は難しい課題となる。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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