“世襲”の経営者のもとでヒット作を出せないかつての名門。不動産に目をつけたファンドが筆頭株主に躍り出て――。「故郷で名誉市民に選ばれ、感慨深いものがあります」 八月十日、東映名誉会長の岡田茂(八三)は出身地である広島県東広島市の名誉市民顕彰式でこう挨拶した。 日本映画界のドンとして脚光を浴びてきた岡田だが、一時期体調を崩し、昨年九月の俳優・丹波哲郎の葬儀では長年の部下である高岩淡・東映取締役相談役(七六)が代わりに弔辞を読んだこともあり、「重病説」も囁かれていた。岡田の消息をメディアが報じたのは久々のことである。

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