「原発再稼働」で明暗分かれた「関電」「九電」の台所事情

執筆者:安西巧 2015年5月1日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア

 原子力発電所の再稼働を認めるか否か――。裁判所の判断が電力会社を翻弄している。4月14日、福井地方裁判所は原子力規制委員会の新規制基準が「緩やかすぎて合理性がない」として、関西電力高浜原発(福井県)3、4号機の稼働差し止めを命じる仮処分の決定を下した。これに対し、鹿児島地方裁判所は同22日、新規制基準は「最新の科学的知見等に照らし、その内容に不合理な点は認められない」として、九州電力川内原発(鹿児島県)1、2号機の稼働差し止めを求めた住民の仮処分の申し立てを却下した。わずか1週間あまりのうちに180度異なる司法の判断が出たことで原発反対派と推進派はともに一喜一憂しているが、当事者の電力会社は勝っても負けても疲弊の度合いを増し、経営の先行きに漂う暗雲は晴れない。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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