原子力発電所の再稼働を認めるか否か――。裁判所の判断が電力会社を翻弄している。4月14日、福井地方裁判所は原子力規制委員会の新規制基準が「緩やかすぎて合理性がない」として、関西電力高浜原発(福井県)3、4号機の稼働差し止めを命じる仮処分の決定を下した。これに対し、鹿児島地方裁判所は同22日、新規制基準は「最新の科学的知見等に照らし、その内容に不合理な点は認められない」として、九州電力川内原発(鹿児島県)1、2号機の稼働差し止めを求めた住民の仮処分の申し立てを却下した。わずか1週間あまりのうちに180度異なる司法の判断が出たことで原発反対派と推進派はともに一喜一憂しているが、当事者の電力会社は勝っても負けても疲弊の度合いを増し、経営の先行きに漂う暗雲は晴れない。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン