「瀕死」の朴槿恵政権(下)「意思疎通の不在」と「手帳人事の限界」

執筆者:平井久志 2015年5月3日
エリア: アジア

次期大統領選挙への影響

 今回の「裏金ゲート」は現在の政局だけでなく、2017年12月に予定されている次期大統領選挙にも影響を与えている。
 次期大統領候補としては、野党の方が、イメージが固まりつつある。前回の大統領選挙で朴槿恵大統領に敗れた文在寅(ムン・ジェイン)氏が2月8日の最大野党・新政治民主連合の党大会で代表に選出された。文在寅氏は雪辱を期して既に動き始めている。
 さらに、手堅い行政手腕を見せている朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が、ダークホースとして注目されている。文在寅氏は盧武鉉元大統領の盟友というイメージが強く、無党派層の支持獲得が課題だが、朴元淳市長は固い支持層がない代わりに党派色が薄く無党派層の支持が期待できる。
 一時、人気を集めた安哲秀(アン・チョルス)議員もいるが、最近はかなり影響力を低下させている。
 これに対して与党側は本命不在の状況だ。セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表、鄭夢準(チョン・モンジュン)議員、金文洙(キム・ムンス)元京畿道知事などの名前が出ているが抜き出た候補がいないのが実情だ。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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