「プーチン年末訪日」にこれだけの障害

執筆者:名越健郎 2015年7月31日
エリア: ヨーロッパ

 ロシアの対日政策では、プーチン大統領が、ハリウッド映画に登場する「グッド・コップ」(良い警官)、メドベージェフ首相が「バッド・コップ」(悪い警官)を演じているかにみえる。「親日派」の大統領が6月、通信社代表との会見で、日本を「戦略パートナー」と呼び、「すべての問題は解決可能だ。そのためにも首脳会談が必要だ」と北方領土問題に前向きな姿勢を示せば、「反日派」の首相は7月の閣議で、近く3回目の北方領土視察を行うと発言し、日本側をいらだたせた。これが対米関係になると、プーチン大統領が「悪い警官」、メドベージェフ首相が「良い警官」の役回りとなり、対日、対米関係でねじれがみられる。「バッド・コップ」の暗躍は、「グッド・コップ」の年末の訪日の阻害要因となろう。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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