追い詰められたインド酒造王:「経営者失格」か「失政の犠牲者」か

執筆者:緒方麻也 2016年5月2日
タグ: インド
エリア: アジア

 インドの「酒造王」としてビジネス界に君臨し、豪華なサービスで知られたキングフィッシャー航空(KFA)のオーナーとして話題を振りまいた著名実業家ビジャイ・マリヤ氏(60)が、崖っぷちに追い込まれている。KFAが国営ステート・バンク・オブ・インディア(SBI)など17行から借り入れた約940億ルピー(約1560億円)が債務不履行に陥り、IDBI銀行からの90億ルピー(約150億円)の借入金をめぐってはマネーロンダリング疑惑まで浮上している。4月24日には、ついにインド外務省がマリヤ氏のパスポートを無効とする決定を行った。マリヤ氏本人は3月2日に「国外脱出」し、捜査当局や裁判所の出頭命令を無視してロンドン郊外に滞在しているが、インド政府が今後、強制送還や英当局への身柄引き渡し要請などに踏み切る可能性も出てきた。

カテゴリ: 経済・ビジネス 社会
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
緒方麻也(おがたまや) ジャーナリスト。4年間のインド駐在を含め、20年にわたってインド・パキスタンや南アジアの政治・経済の最前線を取材、分析している。「新興国において、経済成長こそがより多くの人を幸福にできる」というのが信条。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top