台湾人の伝記を読む楽しさには、格別なものがある。
思想や立場がいかようなものであれ、その人生は波乱と困難に富みながら、絶望や苦悩を糧にさらなるパワーで前進していく姿に感銘させられ、同時に、国家とは何か、民族とは何か、といった、我々日本人にとって日頃いささか縁遠い近代社会の普遍的テーマについても、深い思索を持たせてくれる。
このほど手に取った『台湾と日本のはざまを生きて 世界人、羅福全の回想』(藤原書店)は、まさに20世紀の東アジアの激動を生き抜いた台湾人の活劇であり、読者=観客は、読了後、心からの拍手喝采を送ることになるだろう。
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