インテリジェンス・ナウ

「お好きなトイレの使用を」――スパイの世界を変える「LGBT」

執筆者:春名幹男 2016年6月23日
タグ: CIA ドイツ
エリア: 北米 ヨーロッパ

 かつて、同性愛者のスパイは米国でも英国でも、敵に付け入られる「リスク」が高い、として禁止されていた。しかし時代は大きく変わった。
 このほどワシントンの米国防情報局(DIA)本部で、「ICプライド・サミット」と題する集会が開かれた。米インテリジェンス・コミュニティ(IC)内での性的マイノリティ(LGBT)の活動促進が集会の狙い。米中央情報局(CIA)や各省・軍部の情報機関など計17機関のLGBT職員らに加えて、彼・彼女たちを支援する人たち計約1000人が参加した。今年で5回目の年次総会だ。ICを束ねる国家情報長官(DNI)のジェームズ・クラッパー、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー、DIAのビンセント・スチュワートの3長官が顔を揃えた。
 クラッパー長官は、IC幹部の間でLGBT職員を歓迎するのは「正しいことであるだけではない。プロとしていい仕事をするということだ」と力説した。LGBTもインテリジェンス活動で必要、という認識である。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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