今上天皇の生前退位の是非をめぐって、議論が交わされ、波紋が広がっている。皇室典範に退位の規定はないが、ご高齢の天皇陛下に激務を強要するのもはばかられる……。ここは思案のしどころだ。
様々な意見がある。皇室典範を改めれば、権力者が恣意的に運用し、退位を強要する事態も起きかねないと危惧する人たち。皇太子殿下を摂政に立てて、執務を代行していただいてはどうかという案もあるが、結論はなかなか出そうにない。
歴史をふり返れば、天皇の譲位は珍しいことではなかった。ここ200年、譲位はないが、それ以前、約半数の天皇は、生前退位をされていたのだ。
古代も、譲位は頻繁に行われていた。7世紀から8世紀、そして平安時代後期に、ピークがあり、それぞれに異なる事情が隠されていた。前半は「利用される王家の悲劇」であり、後半は「暴走する王家」である。
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