仲裁裁判所は、さる7月12日、中国の権利を否定しフィリピンの主張を認めた。この裁決は、「ことを収める」のではなく、中国をワル者にして、中国がなりふり構わず「ことを荒立てる」きっかけを作った感がある。中国は、まるで八つ当たりのように、漁船や海警の船を大挙して尖閣周辺接続水域、領海に送り込んで来た。
7月13日には、元米太平洋軍司令官デニス・ブレア、元米国東アジア・太平洋担当国務次官補カート・キャンベル両氏が米国議会公聴会に招聘され、「中国及び米国の戦略姿勢」「米国の対中戦略」について述べた。しかし、発言内容からは、米国が直ちに反応して行動を起こす気配は感じられない。
他方、日本は、日米同盟の深化を企図して集団的自衛権行使の容認という防衛・安全保障政策の変革を行った。しかし、裁決後、米・中の戦略的動向を把握して事態の変化に備える議論は無く、中国の示威行動だけに目が向いている感がある。そこで、時宜に応じた米国議会公聴会のやりとりから「米国の視点と対応」「日本への期待」を探り、示唆を提供したい。

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