「在日米軍にもっと対価を払え」:トランプ発言を改めて考える

執筆者:林吉永 2016年11月15日

 トランプ次期米国大統領誕生は、国際社会全体に「大番狂わせ」の意識を共有する事態を招き、「戸惑いと狂騒」に陥らせている。それは、選挙中のトランプ発言に端を発するのだが、結果は変わらず、やり直しもきかないのだから、新たな適応に関心を示すべきだろう。そこで、トランプ発言から対日安全保障政策の一端でも読み取り、その試みが狂騒を鎮静化させ、あるいは日本の対米スタンスを作っていく示唆を導く一助になればと一考を試みる。

「対日安全保障観」の中身

 トランプ氏の対日安全保障観は、大統領選挙期間中の発言から窺える。「どこかの国が日本を攻撃したら我々は助けなければならない。だが、我々が攻撃されても日本は助ける必要がない。それがよい協定だと思えるか。日米安全保障条約は不公平だ」「対価を支払わない国を守ることはできない」「日本を守る限り大金を失う」「自分の国は自分で守れ」などといったところだ。
 これについて日本の専門家は、「トランプ氏の思うような“暴走”は米国ではできない」「日米安保解消なら、東アジアの安全保障環境は崩壊」「トランプ氏は日米の本当の安保関係を知っているのか」「どちらの大統領でも日本は『対米自立』へ向かう」(ヤフー・ニュース「トランプかヒラリーか。日本の安全保障はどう変わる」参照)とコメントしている。「暴走・崩壊・無知・対米自立」といった言葉は刺激が強く、安定や秩序のイメージとはほど遠い。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
林吉永 はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
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