
居久根の除染実験で林床の土をはぎ取る菅野啓一さん(筆者撮影、以下同)
東京電力福島第1原発事故を引き起こした東日本大震災から、11日で丸6年。全住民が避難中の福島県飯舘村では、近隣の被災地自治体と同様に今月末、政府が「除染の完了」を理由に避難指示を解除する。だが、住民は「除染は終わっていない」と訴える。「居久根(いぐね)」の名をご存じだろうか。東北の農山村で民家の裏手に代々育てられた屋敷林だ。家の建て替えにも使われる財産だが、福島第1原発事故の被災地、飯舘村では居久根が放射性物質に汚染され、今も高線量のままだ。環境省の除染が、居久根では表面の清掃程度で終わり、放射性物質を付けた枯れ葉の腐植土が放置されているためだ。そんな中、独自の居久根の除染実験に取り組み、劇的な成果を上げた農家がいる。彼は「国がもう頼みにならないなら、帰還する者が安全に生きられる環境を自ら取り戻すほかない」と決意している。

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