「プーチンの子供たち」が反旗を翻すロシアの「新政治地図」

執筆者:名越健郎 2017年4月3日
エリア: ヨーロッパ
3月27日、モスクワの反腐敗デモで拘束後、出廷した「プーチンが最も恐れる」反政府指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏 (C)AFP=時事

 ロシアの80以上の主要都市で3月26日に起きた同時発生的な反腐敗デモは、若者を中心に計数万人が参加。呼び掛けた反政府指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏をはじめ1000人以上が一時拘束された。2011年末の与党による選挙不正に抗議した反プーチン・デモ以来最大規模の反政府運動となり、長引くプーチン時代への閉塞感や現状への不満が背後にありそうだ。今回の反政府デモは、「プーチン時代の安定や一定の繁栄の恩恵を受けてきたプーチンの子供たち」(評論家のグレブ・パブロフスキー氏)が反旗を翻したことに特徴がある。これによってプーチン体制が揺らぐ気配はないが、来年3月11日の大統領選に向けてロシア内政が微妙な展開をたどるのは間違いない。

カテゴリ: 社会 IT・メディア 政治
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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