返還20周年:「1国化」で「香らぬ香港」へ

執筆者:野嶋剛 2017年7月7日
エリア: アジア

 

7月1日、香港で行われた民主化デモの様子(筆者撮影、以下同)

 

 私は1990年に香港中文大学に留学した。1年間の語学留学であったが、その時に覚えて学び続けた北京語(中国語)と、今はすっかり錆び付いた広東語を使って香港返還20周年を取材している。そう考えると、私にとって若い頃の留学は後の人生に多少なりとも意味を持ったようである。

 香港留学の経歴を見た人に「なぜ香港に」とよく質問されるのだが、当時の香港は、中国よりも台湾よりもずっと輝いていて、自由と自信、エネルギーに満ち溢れ、「東洋の真珠」の名前に相応しい場所だった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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