【前回までのあらすじ】
大陸から「センカク」方面に迫る識別不明の2機。この非常事態に航空自衛隊は、F15戦闘機の発進枠優先を官民両用の那覇空港に申し入れるが、空港側は法律を盾に、首を縦に振ろうとしない。交渉にあたる空自飛行隊長は、民間機のパイロットに転じた先輩の話を思い出していた。
20(承前)
数年前のお盆休みの時期、先輩は満員の乗客を乗せて那覇に向かおうとしていた便の機長をつとめていた。ところが団体客のチェックインに手間どったりトラブルが重なって羽田出発が40分ほど遅れてしまった。定刻なら那覇着は22時45分、このまま遅れをとり戻せないと到着時刻は23時25分で、那覇空港のいわゆる魔の時間帯にかぶってしまう。
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