飯舘村「帰還」の哀しみ(下)託した「願い」

執筆者:寺島英弥 2017年10月22日
タグ: 自衛隊 原発
エリア: アジア
仮設住宅の入居者たちを元気づけた行事、春の「桜まつり」(2012年4月28日、筆者撮影、以下同)

 

「拝啓 初夏の訪れも穏やかな飯舘村の山々にもすっかり新緑が映え、つばめが軒下の巣にせっせと餌を運び、さえずっていたり、以前の村の風情が長閑(のどか)さを漂わせています。……が、田んぼに目線を下ろしますと、黒いトンパック(注・除染廃棄物のフレコンバッグ)に覆いを掛けて、ドシーンと塞がっている様に、いつまで続いてしまうのか?(私の生きているうちに……)と不安で胸が痛みます。村は3月30日を以て避難解除になり、ようやく帰れたと村へ戻った人が170人ほど(筆者注・9月現在で約400人)との事。(中略)私たちは『村に帰ってからも続けたい針仕事!』をモットーに、薄気力ではありますが、頑張ってきた想いです。しかし、現在帰村できた人は3人。村外に移住者の多い実態であり、各々が身辺定着も難しい現在では針仕事をする心の余裕が見いだせなく、存続する事は会員の心を和ませる処か、反対に苦痛にしてしまうかと判断致しました」

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執筆者プロフィール
寺島英弥(てらしまひでや) ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)、『二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて――青年将校・対馬勝雄と妹たま 単行本 – 2021/10/12』(ヘウレーカ)、『東日本大震災 遺族たちの終わらぬ旅 亡きわが子よ 悲傷もまた愛』(荒蝦夷)、3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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