マネーの魔術史 (27)

日露戦争の戦費調達に高橋是清が奔走

国立銀行が発行した、日本初の紙幣 (C)時事

 

 日露戦争は、1904(明治37)年2月8日に開戦し、1905(明治38)年9月5日に終わった。この戦費は、どのくらいだったか?

 アジア歴史資料センターの『日露戦争史』によると、約20億円。1905年度の日本の政府歳入が約4億円だったので、その5年分だ。

 資料によって数字には若干の差がある。富田俊基『国債の歴史』(東洋経済新報社)によれば、戦費は17.2億円で、1903年度税収の11.7倍だ。

 いずれにしても、当時の日本の国力に比べて非常に重い負担であったことは間違いない。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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