
映画『新地町の漁師たち』の試験操業の場面の小野さん(筆者提供、以下同)
2011年3月11日の津波の後、がれきを残して集落が消えた福島県新地町釣師 (つるし)浜漁港。その朝の風景を、自転車に乗った撮影者のビデオカメラが写していく――。
こんなふうに始まるドキュメンタリー映画『新地町の漁師たち』の画面には、やがて岸壁に集った男たちの所在なげな姿が現れ、「どこから来たんだ?」と、撮影者に問いかけてくる。彼らの方言丸出しの語りから、漁船群を津波から守ったにもかかわらず、再び海に出せなくなってしまったという現実が紡ぎ出されていく。

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